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第3話
■Silke Eberhard (ジルケ エバーハード)
アルトサックス. クラリネット奏者
ジルケ エバーハードは若いアルトサックス、クラリネット奏者である。
南ドイツの田舎で生まれ育ったのんびりとしたおおらかな性格に天真爛漫な笑い顔がとても美しい女の子である。もともとメインストリームな音楽にあまり興味はないらしく、アバンギャルドな演奏に惹かれてサックスを始めたそうだ。
今回オーネット コールマン初期作品をDUOで演奏するという画期的なアイデアの2枚組のCDを作る話が決まった時には大手を広げて喜んだ次第。
彼女の練習熱心さにも感心するが、ドイツの女の子としては わりに小柄な彼女が思い切り吹く力強く元気で大胆な音が私は好きである。
これからを大いに期待される若いサックス奏者ジルケ エバーハードの今後を出来る限り応援したいと心から願っている。
*(注) なお彼女とのこの2枚組のCDはスイスのINTAKTレーベルよりこの7月発売されました。 |
或る日 演奏仲間のルデイ マハールが、オーネット コールマンの6枚組のCD ”BEAUTY IS A RARE THING”を持って現れた。
かなり長い間 私はオーネットの音楽を聴かずに過ごしていたので、その夜は 昔の恋人にまた出逢ったような懐かしさですっかり聞き惚れているうちに、いつのまにか外は明るくなっていた。
この6枚組はその昔オーネット コールマンがアトランテイックレコードに収録したもので 最近まとめて再発された。
1950年後半60年代始めに渡って録音された彼らの演奏を今改めて聴いてみると実に新鮮で素晴らしい。それまでのビーバップの約束事から抜け出し、自由で奔放な展開を繰り広げてゆく過程がとても興味深いし、 また当時のジャズシーンに大きな衝撃を与え、フリージャズという言葉が誕生したこれら瞠目すべきアルバムに今また気付かされた思いと、その頃よりかなり数多くの作品を書いていた彼の作曲家としての素晴らしい才能にも驚嘆したのである。
それから暫くコールマン浸けになって聞き入っていた矢先、 以前私が教えていた大学でアンサンブルコースに参加していた元学生のジルケ エバーハードに偶然に出会った。彼女の活躍ぶりや、最近とみに評判が高いことは、ときおり読む新聞の文化欄や私の廻りの音楽家達の噂から、うすうすは知っていたけれど、彼女が客員教授として南アメリカのコロンビアに行っていたせいもあって、この数年ジルケに会う機会がなかった。が、久しぶりに私のコンサートに顔を見せ、それ以来、どちらともなく声掛け合って練習を始めた。
彼女はエリック ドルフィー、オーネット コールマン、セロニアス モンクなどをとても敬愛しているようで、それは私も右に同じだから、ではこの際 お気に入りのオーネットの昔の作品を掘り下げて演奏してみようという事になり、今丁度2年半が過ぎた。
高瀬アキ(2007年7月)
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「オーネット コールマン アンソロジー」(Ornette Coleman Anthology)
高瀬アキ(ピアノ), ジルケ エバーハード(アルトサックス、クラリネット)
オーネット コールマンの1958年から1968年にかけての初期作品を採り上げ、ピアノとサックス(或はクラリネット)のデユオ用に36曲を編曲し、演奏し収録した2枚組のCD。 |
スイスのレーベルINTAKTから発売 INTAKTのHP:
http://www.intaktrec.ch/129-a.htm
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