第39回：20年前のジャズに思う３
前回の続き。80年代末の新主流派ジャズが最後の全盛期であり、一過性だったもう一つの理由は、あまりにもローカライズされた現象だったことだ。新主流派のリバイバルは、音楽産業の中で綿密にマーケティングされたムーブメントだった。率直に言ってしまうと、それは排他的な黒人音楽としてのマーケティングだった。
どんなに好きでも、実力があっても、新主流派ジャズのカテゴリーでは黒人しか受け入れられなかった。白人アーティストもいるにはいたけれど、ごく少数の名人級の人だけで、同じ実力なら非黒人アーティストは排除された。それでも街のライブハウスなら東洋系アーティストが参加するバンドも多かったけれど、メジャーレーベルからリリースという段階になると業界から排除された。不可侵の「黒人性」が信仰のように重視されたんだ。
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欧州の優れた白人ピアニストの一人、 ピーター・サリクとロンドンでデュオ共演後のショット
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そんなわけでぼくら世代の非黒人ジャズメンは、最も高度に発達したジャズを愛し、どっぷりと浸かり、大いに刺激を受けたけれど、それをどれほど追求しても結局のところ、文字通り主流へと躍り出す機会はなくその時代を終えてしまった感がある。それでも、「あれがホンモノのジャズなんだ」というこだわりがぼくら世代にはどうしてもある。
今の若い人たちは、そんなこだわりは全然ないだろう。一方で、世の中の価値観が多用になりすぎ、むしろ心許ない想いをしているんじゃないだろうか。どちらがいい、とは一概には言えない。一つ確かなことは、ジャズという音楽が20年前に最後の全盛期を迎え、その後は衰える一方だということ。
マーケットが衰えたからといって、もちろんジャズがなくなったワケじゃないしジャズを愛するオーディエンスも世界各地に残っている。20年もたって巨匠が次々に亡くなり、リアルな伝承が失われてくると、若者は皆独自の解釈でジャズを始めるようになった。それで、ジャズのローカル化が起こった。
ロック世代を代表する（？）、
上原ひろみちゃんが
ライブに遊びに来てくれた時の楽屋でのショット
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ヨーロッパではビル・エヴァンス〜キース・ジャレットにルーツを持つ白人ジャズが普及し、巨匠たちも舌を巻くような素晴らしいローカル･ミュージシャンが次々に登場してちょっとしたユーロジャズ･ブームが生まれた。しかし、ユーロジャズがかつてと違って素晴らしくなったからといって、ぼくら日本人がユーロジャズのマネをする必要があるだろうか？というか、ぼくらが彼らと同じ事をしても、現場では見向きもされない。それとは逆の現象として、彼らはどれほど優れていてもあくまでローカル・アーティストである。地方の素晴らしいアーティストが世界的に注目され、グローバルなスターとして活躍する時代は終わりつつあるんだ。
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近年のもう一つの傾向として、ロックとジャズの融合がある。ぼくら以降の人たちはほとんどが「ロック世代」だから、オリジナリティを出そうと思うとジャズともロックともつかない音楽が生まれる。これは世界的な傾向で、アメリカ、ヨーロッパはもちろん日本でも例外じゃない。むしろ、ソウルフルなブラックフィールや、白人のようなリリシズムには自信がないけれど、ロックっぽいジャズなら自信があるというアーティストの方が増えているんじゃないだろうか。どうやら、これが時代の空気になっているようだ。
さて、この続きはまた次回。2月には東京都内で、様々なセッションやコラボレーションが予定されています。そして3月からはツアースタート！是非遊びに来てね！
＜クリヤ・マコト・ライブ情報＞
2月09日（木） 青山BODY&SOUL（03-5466-3348）
KOTETSU with クリヤ・マコト
出演：KOTETSU(vo)、クリヤ・マコト(pf)、柳原旭(b)、中丸達也(per)
2月11日（土） 赤坂B flat（03-5563-2563）
オマー・エドワーズ・ショーケース
出演：オマー・エドワーズ(tap)、クリヤ・マコト(pf)、アンディ・ウルフ(sax)
2月12日（日） 水戸ガールトーク（029-225-0050）
納浩一セッション
出演：納浩一(b)、クリヤ・マコト(pf)、大坂昌彦(ds)
2月26日（日） 世田谷区松本音楽迎賓館（03-3709-5951）
ピアノと鍵盤ハーモニカによる二重奏
出演：KANKAWA(鍵盤ハーモニカ)、クリヤ・マコト(pf)
3月16日（金） 京都RAG（075-241-0446）
クリヤ・マコト・グルーヴィートリオ・ツアー
出演：クリヤ・マコト(pf)、コモブチキイチロウ(b)、則竹裕之(ds)
ゲスト＝たなかりか(vo)
3月17日（土） 岡山県勝山文化センターポンテホール（0867-44-2011）
クリヤ・マコト・グルーヴィートリオ・ツアー
出演：クリヤ・マコト(pf)、コモブチキイチロウ(b)、則竹裕之(ds)
ゲスト＝NAOTO(vl)
3月18日（日） 広島Speak Low（082-545-3960）
クリヤ・マコト・グルーヴィートリオ・ツアー
出演：クリヤ・マコト(pf)、コモブチキイチロウ(b)、則竹裕之(ds)
ゲスト＝たなかりか(vo)
3月19日（月） 神戸CREOLE（078-251-4332）
クリヤ・マコト・グルーヴィートリオ・ツアー
出演：クリヤ・マコト(pf)、コモブチキイチロウ(b)、則竹裕之(ds)
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※詳しくはクリヤ・マコト・オフィシャルサイトをご覧ください
クリヤ・マコト・オフィシャルサイト
http://members.jcom.home.ne.jp/tothemax/live/schedule.html |
