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ハイブリッドジャズの歴史 -クリヤ・マコト-


第38回:20年前のジャズに思う2

 皆さん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!2011年末と迎えていろいろ思うことを、動画でしゃべっているのでそちらを是非見てね。ハンガリーでのライブも見られます。
  さて、一回お休みしちゃったけど前回の続き。ぼくがデビューアルバム「The Baltimore Syndicate」をリリースした頃に流行っていた新主流派のジャズ。それがジャズの最後の全盛期だったという話。その理由は、一つは80年代末の新主流派があくまでリバイバルだったということ。巨匠たちが創り上げたかつてのジャズの焼き直しで、決して新しい音楽じゃなかった。これを、ジャズのクラシック化という。

ジャズ全盛期以降のアーティストたちと楽屋で乾杯! 左から鳥越啓介(b)、ぼく、熊谷和徳(tap)、SHIHO(vo)、 石塚隆充(cante)、天倉正敬(ds)

  大衆に受け入れられた、現在進行形の新しい音楽がポップスだとしたら、この時点でジャズはポップスであることを完全に放棄した。まあ正確に言えば、芸術性を追求し始めたビ・バップの頃から放棄していたんだけどね。そうはいっても、いわゆるポップスやロックだって相も変わらぬ古い音楽の焼き直しをしてるじゃないか、といえばその通りで、焼き直しやリバイバルだって時代精神にマッチしていればそれは間違いなくポップスだろう。進化しなくなったのは、何もジャズだけじゃないわけだ。
  とはいえ60年代に生まれたボサノバを始め、サルサ、バイーア、レゲエ、ハウス、ヒップホップなど、ラテン音楽や移民音楽に刺激を受けた新しいサウンドが、世界ではどんどん生まれて来た。テクノやエレクトロのような、最新技術に刺激されて生まれた音楽もある。こういった新しいサウンドに対する許容性が、ぼくはクラシックに対比する所のポップスなんじゃないかと思う。


グルーヴ世代の先駆者、DJ須永辰緒、akiko(vo)と

 その意味で、ジャズもどんどん変わってきた。自由の精神の追求と同時に全盛期を迎えたフリージャズは、アコースティックなジャズの行き着く先となり、一方のフュージョンはロックやエレクトロや民族音楽と融合。そしてDJのアナログ盤使いと新しいリズムに触発され、ジャズの聴き方を根本的に変革した現在のクラブジャズへ至る。新主流派というのは、このごく自然な流れに対する最後の抵抗だった。



  だけど、音楽院を中心に受け継がれてきたクラシック音楽の名作が、今も当時と似たようなスタイルで聴かれるように、70年代までに最高潮に達したメインストリーム・ジャズがクラシックと化し、弾きつがれ、聴きつがれるべきであるというのもまた自然な成り行きだろう。その証拠に、欧米諸国では伝統的な音楽院にジャズ課が登場した。多くの音楽院にジャズ部門や伝統音楽部門はあるけど、ロック部門やR&B部門はあまり聞かない。ジャズがクラシック化したということは、引き継いでいく価値のある音楽だと認められたわけで、その理由はジャズがあらゆるポピュラー音楽に影響を与えた音楽だからだと思う。しかしこのことはまた、保護しなければ滅びてしまうということも示唆している。多くの国で音楽院に民族音楽部門があるのはそのためだ。


  さて、この続きはまた次回。今年はアルバムデビューして21年目となるけれど、新作のプランがまた持ち上がってます、お楽しみに!ライブは、3月からツアースタートです。それまでは、いろいろセッションに参加するので遊びに来てください!


<クリヤ・マコト・ライブ情報>
1月2・3・4日Motion Blue YOKOHAMA(045-226-1919)
  シンガー・ショウケース2012
  出演:塩田哲嗣(b)、ジーン・ジャクソン(ds)、クリヤ・マコト(pf)
     +日替わりで18名以上のシンガーが出演
1月23日(日)Motion Blue YOKOHAMA(045-226-1919)
  北原雅彦セクステット
  出演:北原雅彦(tb)、藤陵雅裕(sax)、クリヤ・マコト(p)、
     藤井学(ds)、河上修(b)、木村"キムチ"誠(per)
2月09日(木) 青山BODY&SOUL(03-5466-3348)
  KOTETSU with クリヤ・マコト
  出演:KOTETSU(vo)、クリヤ・マコト(pf)、柳原旭(b)、中延達也(per)
2月12日(日) 水戸ガールトーク(029-225-0050)
  納浩一セッション
  出演:納浩一(b)、クリヤ・マコト(pf)、大坂昌彦(ds)
3月16日(金) 京都RAG(075-241-0446)
  クリヤ・マコト・グルーヴィートリオ・ツアー
  出演:クリヤ・マコト(pf)、コモブチキイチロウ(b)、則竹裕之(ds)
     ゲスト=たなかりか(vo)
3月17日(土) 岡山県勝山文化センターポンテホール(0867-44-2011)
  クリヤ・マコト・グルーヴィートリオ・ツアー
  出演:クリヤ・マコト(pf)、コモブチキイチロウ(b)、則竹裕之(ds)
     ゲスト=NAOTO(vl)
3月18日(日) 広島Speak Low(082-545-3960)
  クリヤ・マコト・グルーヴィートリオ・ツアー
  出演:クリヤ・マコト(pf)、コモブチキイチロウ(b)、則竹裕之(ds)
     ゲスト=たなかりか(vo)
3月19日(月) 神戸CREOLE(078-251-4332)
  クリヤ・マコト・グルーヴィートリオ・ツアー
  出演:クリヤ・マコト(pf)、コモブチキイチロウ(b)、則竹裕之(ds)


ジャズ最後の全盛期体験者、
大坂昌彦(ds)、納浩一(b)と

※詳しくはクリヤ・マコト・オフィシャルサイトをご覧ください
クリヤ・マコト・オフィシャルサイト
http://members.jcom.home.ne.jp/tothemax/live/schedule.html

 

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