1926~1991 ビバップ以降のジャズの歴史はこの人の変遷を見れば全てわかると言えるほど、ジャズ界に与えた影響も大きく、また時代の変化にも敏感で 世界の音楽シーンの新しい動きを常に積極的に取り入れた。 トランペット奏者としても超一流だが、ソロイストが勝手気ままにソロをやるのではなくグループ全体としてのまとまり、グループ・コンセプトを大事にしたので、彼の演奏というよりは彼のグループを聴くということになる。 アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズのアート・ブレイキーと並び、親分的要素で新人を育て世に送り出す、スター・システムとしての 役割も大きい。おそらくジャズ界最大の功労者。 若い頃のマイルスはクリフォード・ブラウンやファッツ・ナヴァロのような ハイテクニシャンではなく、そのテクニックには少し問題があったらしい。 パーカーとの初レコーディングには前任のトランペッターのガレスピーが 心配で手助けに駆けつけたというエピソードも。しかし、マイルスは ハイ・ノートや速いフレーズをあまり使わず、ビブラートも抑制した都会的で洗練されたクールなソロで一世を風靡した。自分の欠点を逆手に 取った巧妙な方法で、演奏者にとっておおいに学ぶべき点であるが、 もちろん60年代にはそのテクニックも第一級のレベルになったことも事実である。ハーマン・ミュートのナイーブなソロは右に並ぶものがなく、 「卵の殻の上を歩く男」といわれた。 |